俺のAOR<13> ~不世出の天才ヴォーカリスト 田中雅之さん~

クリスタル・キング。

この名前を聴いたことのない方はいないのではないだろうか?平成生まれの075でも「当時の映像」をきっと目にしていると思う。そう…クリスタルキングとは、老若男女問わず、日本人なら誰もが胸に甘酸っぱい想いをいだくスーパーグループだ。

まずは日本音楽史に燦然と輝く名曲『大都会』をご覧下さい。

  ★大都会 (79年) / クリスタルキング
http://www.youtube.com/watch?v=a73xFKln_-s&feature=related

とめどなく涙が溢れてくる…。本当にすごいミュージカルを見てしまった時、客席を立つ事の出来ないことってあるよね。この役者達と同時代を生きられて、この役者達と同じ空気を吸いながら時を過ごすことができて何て幸せなんだろうって….。

この音楽、この声にはまさに同じことを感じる。

いつもグラサンの「ムッシュ吉崎さん」の悪っぽい姿と、めちゃくちゃ上手くてめちゃくちゃ正確なバリトン・ヴォイスはもっと評価せれるべき。とても素晴らしいシンガーさんだよね。

しかし、田中昌之さん(当時の芸名)のスーパー・ハイトーンを抜きには、このグループを語れないでしょ!!!フレディー・マーキュリーを初め、世界中の高音自慢のヴォーカルを聴いてきたけど、田中さんのこの声は、極めて独特で極めて美しく極めて男性的なハイトーン。これは歌い手にとって「世界遺産」というべき到達点だと思う。世界にはもっと高い音を得意とするヴォーカルはいっぱいいるけれど、田中さんの声は演劇的なニュアンスがふんだんに入っている「劇的High Voice」。身体の芯から想いを揺さぶるあの歌は、高いとかは二の次で、とにかく上手いし最高に素晴らしい。どうだ?世界3本に入る「魂の声」ではないか?

AORマニアの赤津崎としては、3:00~の間奏(ギターソロの部分)が、コード進行も、ギターのトーンも、ギターのフレーズも完全にAORだということに着目している。79年の音…なるほど…世界中がAORだった時代だ。「時代の音」っていいね。

続いて4枚目のシングル。たしかこれは、デビュー曲「大都会」より前にできていて、佐世保で何度も演奏していた曲だとラジオで聞いた記憶がある。

  ★明日への旅立ち (80年) / クリスタルキング
http://www.youtube.com/watch?v=EKN_Dn4lzqU

ドヒャ~~~~~~!!!!田中さん、上半身裸でテレビ出演!!!!裸に直に赤いジャケット!!!かっこえ~~~。このカッコと目つきの悪さ….佐世保の米軍基地で鍛えた海の男の真骨頂だな。俺はこういうハードボイルドが大好きだ。君も好きなら好きと言うてみ~?え?曲が好き?あ~~~、そもそも曲が素晴らしいよね(笑)。

  ★蜃気楼 (80年) / クリスタルキング
http://www.youtube.com/watch?v=3IHgtyzIPqo

2nd シングル。小学6年くらいだっただろうか。ホウキをマイクに見立て掃除の時間に熱唱したことを覚えている。憧れのクリスタルキング….。CMソングだったこの曲が好きな人!この曲もやはりAOR調だ。余談だが、サードシングルの「処女航海」がまためっちゃAORなんだよね。すごく好きなんだけど知ってる人いる?

  ★Church (81年)  / クリスタルキング
http://www.youtube.com/watch?v=C88xTb–Xw0&feature=related

8枚目のシングル。俺は学生時代からこの曲が好きで好きで、ちょっとプログレが入っているのがタマラない。後期クリキンの隠れた名曲。田中さんの男性的でロックで突き抜けた感性は、もはや日本国内に収まらない大きさ….世界に出るべき 出て欲しい存在だったよね。「AOR+プログレ」のこの音世界は俺の好みど真ん中。この後、1984年には「北斗の拳」の主題歌「愛をとりもどせ!!」も大ヒットすることになる!!ケンシローもラオウも大好きだしよく聴いたものだ。B面の「ユリア…永遠に」もいいよね。

人気・実力共に絶頂だった1989年。

草野球の最中、サードを守っていた田中さんの喉にボールが直撃する….信じようにも信じられないような大事故….その結果、田中さんは神の高音を失ってしまう。

その悔しさと苦悩は歌い手として….察するに余りあるし、胸の奥までキリキリと痛む。

どうしても戻らないあの煌めきの高音…七転八倒し、医者からも匙を投げられ、「歌手をやめよう」とまで思った彼に再起を決心させたのは、「歌は心で歌うものなんじゃないの?」という知人の言葉だったという。

その通りだ…深くて厳しくて、でも優しい言葉だ。

人生いろいろだね。でも、苦悩を乗り越え、今でも現役で歌っていらっしゃる田中雅之さん。本来ハートで、魂で歌うシンガーだったので、今の歌声もじゅうぶんセクシーで素晴らしいと俺は思う。その復活ぶりも含め、俺はめっっっちゃ大好きで尊敬している。

「神様は、その人に越えられないハードルは課さない」という。うん。その言葉を信じたい。みんなにも、あり得ないような困難や立っていることも出来ない嵐が突然襲いかかってくることもあると思う。

でもきっと越えられる。精一杯生きよう。精一杯頑張ろう。田中さんも頑張ったんだから。そして、精一杯乗り越えよう。

そう。田中さんには、歌だけでなく「人生道」も教えてもらっている。俺が勝手
に弟子になっていることは、もちろん田中さんはご存知ありません(笑)。

最後に、田中さんの心を貫く「永遠の声」をご堪能下さい。

  ★An End  /  クリスタルキング
http://www.youtube.com/watch?v=4H_UzlTrMzc

◆田中雅之さんオフィシャルサイト
http://tanaka-masayuki.main.jp/


59 thoughts on “俺のAOR<13> ~不世出の天才ヴォーカリスト 田中雅之さん~

  1. スイカ

    一孝さん、今日、来週結婚するカップルに一孝さんのCDをプレゼントしました。今日の一孝さんのブログのコメント、大切にしますね。お稽古で疲れているのに、楽しくて大切なお話をありがとう。いつの間にか、12時を過ぎてしまいました。おやすみなさい♪♪♪

  2. け~こ

    kazuさん。おかえりなさい(^-^)/
    お疲れ様でしたm(_ _)m
    間違い探しですか?
    AORと絡めるくだりとか。
    各曲にもいろいろと。
    知らない間に弟子になってたし(笑)
    ・・・これほどの記憶力がなぜ他の場面でも生かせないんだろう?(爆)

  3. 惠子(^_^)v

    赤津崎さん、加筆訂正ありがとうございます(^_^)
    『処女航海』間奏のギターもかっこいいですね♪
    クリスタルキングの歌を全部知っているわけではないけど、いろいろ聴いてみると演奏もかっこいいし、歌声も凄いです♪
    赤津崎さんが紹介してくださらなかったら聴いていなかったと思います。

  4. 赤津崎です

    何度聴いても胸に来る….こんな声…そうあるものじゃない。
    みんな、書き込みありがとう。
    ただいま、いつものように加筆訂正致しました。よかったら間違い探しして下さい(笑)。

  5. 惠子(^_^)v

    一孝さん
    ブログの更新♪
    『俺のAOR 13』
    ありがとうございます。
    まさか、一孝さんが、クリスタルキングを取り上げてくださるとは!
    初めて、クリスタルキングの大都会を聴いた時、とても衝撃を受けました…。
    クリスタルキングの歌が流れると、つい聞き入ってしまっていました。
    『明日への旅立ち』、『蜃気楼』いいですね♪
    『Church』も気に入りました♪
    あと『セシル』も聴いてみましたが、これもいいです(^_^)
    クリスタルキングの歌って、そういえば最近、聴かないなって、思っていたら、大事故にあわれていたとは…。
    大変な時期を乗り越えて、今も歌い続けていらっしゃるのですね…。
    An End 田中さんの心を貫く「永遠の声」聴かせていただきました…☆
    一孝さん☆
    ありがとうございました。

  6. け~こ

    余裕をもって昭和生まれの075なので聞いてましたよ(^-^)
    高音だけど心地良くって男っぷりのある声。
    そして『大都会』の♪交わす言葉も寒いこのまち~♪からがなんとも好きです。
    お2人の素敵な声に酔いしれます~(*^^*)
    「歌は心で歌うもの」
    綾戸智絵さんも決して音域が広い訳じゃないけど、素敵な歌を歌われますもんね。
    習い事の師匠が家族ぐるみのお付き合いをされていて、ホントに素敵な方だと。
    聴く側も結構いろんなこと感じますし。
    kazuさんの歌にもいつも心を感じます(*^^*)
    今度はストプレだけど早くもkazuさんの歌が聴きたくなってきたなぁ(笑)

  7. シェアト

    教授、こんにちは~。
    今日も、更新ありがとうございます。
    クリスタル・キング、流行ましたね~。
    ベストテンとか歌番組、見てました。
    ★明日への旅立ち
    いいですね~、気に入りました。
    励まされているみたいです。
    今日も頑張りました
    明日は精一杯乗り越えて、頑張ります!

  8. pomme

    こんにちは!
    クリスタル・キング
    懐かしい~。
    少し前になるけど、tvの歌真似歌合戦でクリスタルキングの大都会を歌われる方がいて、やっぱこの曲いいな。と思っていたところでした。
    私も田中さんの事故のことは知らなかった。。。
    そうなんだ。ご本人は大変な思いをされたでしょうね。
    活動再会されているようで良かったです。
    ホウキをマイクに見立て掃除の時間に熱唱→そんな子はクラスにいなかったなぁ。石井少年はその頃から歌手を目指されていたのでしょうね。
    その夢を実現させてしまうなんて、凄いです。

  9. ikuko

    「大都会」…この歌を初めて聴いた時、あまりの美声にTVに釘付けでした。
    田中さんの声こそがクリスタル。
    聴いた人の胸の中まで透き通ってゆく、そんな感じでしたね。
    あのスレンダーな体のどこからこんなパワフルな高音が出るのかと
    不思議でたまりませんでした。
    事故のことは知りませんでした。
    神様はなんという残酷なことをしたのでしょう。
    田中さん一人のものだけでなく、世界の美声だったのに。
    でも、今までとは違った曲調の歌を
    今までとは違った心で歌えるようになったのでしょうね。
    「An End 」凄いですね!
    ギターの音からいつの間にか田中さんの声に。
    カウンターテナーとはまた違った男性的は高音の魅力がありますね。
    体を資本としてお仕事している方は、私たちよりずっとナーバスな生活なんでしょうね。
    カズさん、お察しします。

  10. FROM KAMA

    お稽古お疲れさまDeath!
    日常生活に支障が出るほどに、毎日面白ネタが続いて困ります(笑)
    こないだイアン・ギランのJCS白盤を聴いていて「日本でだったら誰がいいんだろう」と脳内キャスティングしていて、クリキンの田中さんしかいないな、と思い浮かんだんですよ。嗚呼…またもや運命か?(爆)
    教授、『俺のAOR』にカテゴライズなさっていますが、昨日のお題といい、これを機会に『俺のHR/HM』を作っていただけませんでしょうか?(笑)
    田中さんはロバート・プラントを敬愛なさっているのは有名ですし、今日の後半2曲はプログレ以外の何物でもないと思うんです(笑)
    いやいや、凄いっすねぇ( ̄∀ ̄)
    むかーし昔、田中さんが『移民の歌』をカヴァーしてるのを(確かミュージックフェアとかだったかな…記憶にない…)聴いたことあります。
    LOUDNESSがヴォーカルに欲しかったんですよね、田中さんを。事故の不運を乗り越えて、今も歌ってらっしゃるとのこと。素晴らしい!!!
    『愛をとりもどせ』と来たら、アニメタルUSAにも言及させていただきとうございます。
    あ〜〜仕事に戻らねば(泣)
    これを置き土産に取り急ぎ失礼をば。
    ★アニメタルUSA
    http://m.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&client=mv-google&rl=yes&feature=related&v=q160yxbP89M

  11. maki

    分かりました♪分かりました♪
    ギタリストさんね。
    クリスタルキングってバンドだったんですね!
    ひょえ〜知らなかった!

  12. maki

    凄い…凄い声ですね。
    「An End」
    クリスタルキングのこんな歌、聴いたことありませんでした。
    これが4オクターブの声かあ…。
    凄いな〜。
    「大都会」と「北斗の拳」の歌くらいしか記憶になくて…。
    それと「蜃気楼」のサビを少し。
    しかもお二人の名前も知りませんでした。
    ごめんなさい。
    それでも初めて「大都会」を聴いた時は衝撃的でしたね〜。
    この歌は大好きでした。
    改めて聴いても素晴らしい声ですが、ほんと…言われてみると独特な声かも。
    声の感じや音域はブライアン・ダンカンみたいだけど、あそこまでクリアじゃなくて…。
    地声のようで、「Chrch」で時々出る歌い始めのかすれる感じに、強さと色っぽさを感じるような…。
    ああ、これが男性的というのかなぁ?
    こんなに素晴らしい唯一無二な声なのに、そんな悲しい出来事があったなんて…。
    石井さんの歌声のルーツの1人、あ、2人であり、歌手として生きるとはどういうことなのかを教えてくれる、尊敬すべき大先輩なのですね。
    ところで
    声も衝撃的でしたが、この組み合わせも衝撃的でした。
    パンチパーマでグラサンで黒い服のイメージの、えっと吉崎さん?
    歌、上手いです。気がつかなかった。怖いから。
    田中さんの素肌にジャケットは、ハードボイルドなんですか?
    今でいうチャラい男に見えますが…。
    どちらかと言えば、吉崎さんじゃ…。
    この硬派と軟派の組み合わせ。
    何故馴れ初めを聞いてみたい二人の相反する声が綺麗に重なって、大変珍しいデュオだと思ったものです。
    で。
    ねぇねぇ石井さん。
    「An End」で出てくるいろんな田中さん。
    モジャ胸毛こそありませんが、なんだかジノ様みたいに見えませんか?
    単なる当時の流行りなのかな?
    そして、やっぱり胸はツルツルがいいと思います♪
    一方どの写真でもパンチでグラサンの吉崎さん。
    1人浮いてます。
    硬派やわ〜〜〜〜。
    白いパンツを履いたりすることもあったんですね。
    石井さんのAORは何が出てくるか分かりませんが、意外なようで納得の素敵な方たちです♪
    今まで知らずに通り過ぎてきた中には、素敵なアーティストが沢山いらっしゃるんですね。
    しかし、この山下三智夫さんって何者!?

  13. ゆりえ

    カズさんこんにちは♪ヽ(´▽`)/
    はい(*^^*)平成生まれの075ですがカズさんのおっしゃる通り、
    当時の映像を見たことあります!!
    曲も何度も耳にしたことがあります!!
    1つのグループがどの世代にもよく知られているってすごいことですよね…
    ボールが喉に当たって…思うように声が出なくなっても歌い続ける姿は
    どれだけ多くの人を勇気づけたことでしょう!!
    何事もすぐに諦めてはいけませんよね(^-^)
    カズさん、ホウキをマイクにして熱唱してたんですか?(笑)
    でも掃除の時間にホウキで遊んでる男子、いたなぁ(^_^;)

  14. ハイコ

    kazuさん!
    昨日 おやじばんどを見てた時 右側に クリスタルキングの大都会が ありました。これももしかしたらおやじばんどが歌ってるのかなって思っちゃって スルーしちゃいましたm(__)m
    ボールが当たって声が出なくなったなんて知りませんでした。でも現役で頑張ってるんですね♪ 素晴らしい ステキなお話ありがとうです。 おやじばんどに‥ いや いや 良いです。気にしないでください(笑)
    今日も 元気で♪

  15. Zoccha

    おはようございま~す☆
    大都会 / クリスタルキング・・・昔はハイトーンと思っていましたが、
    今聞くと最高音hiCだから、そんなに珍しいほどの高さではないのですが、
    一度聞いたら忘れない美しい声。
    >「喉にボールが直撃する大事故が発生….信じられないことに田中さんは高音を失ってしまう。」
    それは知りませんでした。
    確かに声帯を支えているフレームにあたる軟骨にゆがみがくれば、充分有り得ます。
    それは・・・それは・・・聞いただけでもショック・・・
    >「小学6年くらいだっただろうか。ホウキをマイクに見立て掃除の時間に熱唱・・・憧れのクリスタルキング….。」
    掃除中にいかんでしょ。
    そんな変な子は、私のクラスにはいなかったなあ~
    でも、見てみたい・・・
    なかなかホウキ持って歌ってて、歌手になる子はいませんよね~

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