出たがりのふたり

7月19日。「三銃士」の幕が開いて3日目。公演はまだまだ9月末まで続きます…..。
 
って一年前はそう書いていたんだよね。な、な、懐かしい….。
 
さて、先日袖でスタンバイまでしていたのに、作者の結果発表までの時間が無かったために1秒も出演することなく楽屋に帰らされた2人組「荒墨孝一警部と本橋自由刑事」がどうしてもみなさまに挨拶をしたいと言うので、少々時間をよろしいでしょうか?
 
では『出たがりブラザース』のおふたりです!盛大な拍手でお迎え下さい!!
 
 
PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI 
 
 
  <哀れなふたり、スゴスゴとオズオズと上手から登場>
 
荒墨「…..おい….若いの…..みんな見てるぞ」
本橋「….ガタガタガタガタ……そそそそうですね….ぼくぼくは緊張ななんてしてませんよ」
荒墨「何をこの小心者が!!人間が小さいのだよ君は。君はさっき袖にいる時から唇が紫になって足がO脚になっておっただろうが。わたしみたいに不動の構えで挑むべきだよ不動の構えで」
 
  <緊張の極限にいた本橋だが、荒墨のボケだか挑発だかわからない発言に突然調子を取り戻す>
 
本橋「え?警部?それが不動の構えなら銅像はみんな最優秀演技賞ってことになりますよ。なんですかそのコチコチぶりは!右手と右足と右目と右肩が同時進行で動いちゃってるじゃないですか!錆びかけたブリキのおもちゃより固いですよ!」
荒墨「……(カチン)…..。フッ、若いな。人前で見苦しい。ここは警視庁地下三階の馴染みの部屋じゃないんだよ。焼き鳥の匂いも昭和なノスタルジーも無い高貴な場所なんだよ。ここは人々に愛と勇気を与えるところ “劇場”だよ、きみ」
 
  <荒墨はいいことを言ったと思い、自信満々に 胸ポケットから煙草を取り出し吸う。銘柄は「わかば」。意外に渋い>
 
フ~。アツッ。ゴホゴホゴホ!
 
本橋「…..ほら、言わんこっちゃない。美味しいですか、火がついてる方から吸う煙草は?どうですか?葉っぱの味は?」
荒墨「え?….うん。悪くない。ネタとしてお客様のために悪い例をお見せしただけなんだな、わたしは」
本橋「嘘ばっかり!警部はいつもマジボケじゃないですか。その証拠に下唇が水ぶくれになってるじゃないですか!ほんとにこのボケ老人はあ~いえばこ~いうなんだから」
荒墨「….君ねえ、さっきから強気だな。せっかくこの一年頑張って治療に励んできた私たちじゃないか。やっと現場復帰し、これから『アラミスの知恵袋』を徹底的に仕上げようとしている時に仲間割れはないんじゃないか?」
本橋「おっ。やっと本筋に戻りましたね」
荒墨「当たり前だ。そのためにステージに出てきたのだよ私たちは」
本橋「そうですね~。選手権が始まって8ヶ月。作者がついにと言うかようやくと言うか、結果を発表いたしましてね。遅いんですよね、やることが!」
荒墨「きみねぇ、作者も作者だが、我々はその月日の大半入院していたんだよ」
本橋「……ドキ…….」
荒墨「作者ばかりを責めるわけにはいかんよ、きみ」
本橋「そうですね」
荒墨「知恵袋完全版の作成のために一致団結しようではないか」
本橋「ええ」
 
PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI PACHI 
 
 
荒墨「『捜査十三課特殊記憶係』の荒墨が特に実力を発揮したしますのでご期待下さい」
 
  <イヤな空気が流れる>
 
本橋「…はっ?….何すかそれ?一致団結って言っておきながら手柄を独り占めっすか?」
荒墨「…何を言っておる若造、世の中はきれいごとではすまんぞ。わたしのじ」
 
<ダッ>
<トンパッ>
<グラ~リ>
<ドムッ>
<シュルシュルシュル>
<ザ~~~~~~>
 
 
   <場内大爆笑>
 
 
さて、二人のことは放っておいて、『捜査十三課特殊記憶係』の思い出を載せておきます。
みなさま、本当にありがとうございました。
 
 
 
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  警視庁….地下3階…..階段を下りて右に2回・左に1.5回曲がると、忽然と細長い廊下が現れる。そこをドンツキまで行ったところに、昭和な灯りに朧げに浮かぶ薄暗い一室がある。そこに部屋があることを誰もが忘れてしまう庁一の地味な部署だ。
 
『捜査十三課特殊記憶係』
 
通称”特記”と呼ばれるこのセクション。誰もこの部署への異動を望まず、そもそも部署の存在さえも忘れられかけているので、新人が配属されたのは極めて異例のことと言える。
 
彼の名前は「本橋自由」
究極の突っ込み体質だ。
 
もう一人。すなわち…..特記の室長 このゴーストタウンのようなウバ捨て山のような部署で43年も飯を食っている男が
 
「荒墨孝一」
平仮名で書くと「あらすみこういち」だ。
 
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警視庁。B3フロア。45度の角度に切れ込む特殊な迷路状の隙間を通ると、壁にヒビが入った薄暗い廊下が現れる。床の端が悲しくめくれ上がっている。1歩歩くごとに昭和なノスタルジーを感じていく不思議な小道だ。季節柄、金木犀の香りやコオロギの鳴き声も溢れている。本当に建物の中なのだろうか…..鳥皮のこんがり炙られた匂いと家族団欒の笑い声をくぐり抜けると、ほんのりと滲むような赤提灯の灯りにあなたは出くわすだろう。赤提灯の中腹にはこう書かれていた。
 
『捜査十三課特殊記憶係』~おこしやす~
 
 
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<バシッ>
<シュタッ>
<グキッ>
 
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「はい、お二人さん!!!そろそろ起きて下さい。うちは旅館じゃないんですよ!!」
「…..う….ああ」
「あっ..
..すいません….もう7時かっ」
「じゃあ、荒墨さんと本橋さん、まずは検温して下さいね。すぐに朝食が出ますからね!!」
 
賢明な読者はもうお気づきだろうか。噂の男2人は、警視庁地下三階の焼き鳥屋の並びにいるのではない。ではどこに…?
 
” 打瑠谷総合病院 “の二階にある一般病棟のベッドの上だ。
 
 
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打瑠谷総合病院1223号室。酷寒の日曜日。
 
「魅令田先生…この方、なんとか持ちこたえましたね….」
「そうね。恐るべき生命力だわ。峠を越えてスヤスヤ眠ってる」
「きっと今くすぐっても気付かないでしょうね…」
「輪恩ちゃん、あなたってどうしてそんなイケズな発言なの。うふ。可愛い子ね」
「そんな…魅令田先生こそお綺麗ですわ..」
「うん、知ってる」
 
   ガクッ。
 
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24 thoughts on “出たがりのふたり

  1. みさ

    一孝さんへ
    こんばんは。
    懐かしの『特記』シリーズ!!楽しく拝読しました。
    一孝さんは創造することに凄く長けていらっしゃるので、読み手や聴き手は一瞬にしてその世界へ入り込むことができます☆
    豊富な語彙や、繊細な(時に大胆な)表現で『えっ!次はどうなるの!?』とワクワクドキドキ!!
    いつも素敵な余韻を残して下さいます。
    こちらは想像力をはたらかせながら、またいつか魅力的な主人公に会える日を楽しみにしています(^-^)
    暑い毎日ですが、一孝さんに会いたい方が全国にたくさんいらっしゃるので、まだまだ溶けないで下さいね〜(笑)
    それではどうぞご自愛下さい。

  2. シェアト

    教授、こんばんは。
    荒墨さんと本橋さん、おひさしぶりです!
    思わず噴出しちゃいました~、デビューして欲しい!(笑)
    タイトル、変わりましたよね?うふふ。。

  3. うりぼう

    ハイ、次は『出たがりブラザーズ』です~。
    ♪チャカチャンリンチャンリン…♪ という出囃子が
    聞こえてきそぅ(^w^)
    わかば。 小さい頃、おじいちゃんが吸ってたなぁ~。懐かしい。
    でも、警部はどう間違って火が着いてる方から吸っちゃったんでしょ?
    …すみません、細かい所が気になるもんでf(^_^;
    この台本で、9月2日に浦井くんと再現してほしいなぁ(笑)
    さて、7月28日まで10日をきりました!
    とにかく、早く、石井さんに あ・い・た・い ナ(#^.^#)

  4. pomme

    遅ればせながら、当選された皆様おめでとうございます。!!!
    久々に元気に登場された
    荒墨警部と本橋さんって実はブラザーズだったんですか?
    相変わらず楽しいコント。
    ありがとうございます。
    二人に何が起こったのか?続きが気になります。

  5. Estrela

    荒墨孝一警部と本橋自由刑事だわ♪懐かし~。
    PACHI PACHI PACHI PACHI!
    楽屋に帰されて、このまま会えないのかも?と思っていました。
    相変わらず面白い2人♪まるで銀橋トークみたい!(笑)
    最後の<ダッ><トンパッ><グラ〜リ><ドムッ><シュルシュルシュル><ザ〜〜〜〜〜〜>が気になります。
    これって、もしかして再入院ですか?
    『捜査十三課特殊記憶係』シリーズも懐かしい♪
    ドラマ化して、土曜ワイド劇場とかで放送してくれたら楽しいのに!
    魅令田先生と輪恩ちゃんも友情出演で登場したりして・・・。
    果たして、作者と出たがりブラザースは一致団結できるのか?
    続きがあるのか?どうかわかりませんが・・・。いつかまた、荒墨孝一警部と本橋自由刑事にお会いできることを願っています♪

  6. け~こ

    あ~あ~またやっちゃいましたね。荒墨警部と本橋くん。
    で、『ブラザース』でいいんですか?
    と書いて2つの意味に気がつきました。
    1つは『ブラザーズ』じゃなくて?『ス』なの?
    もう1つはこの部署で43年も飯を食っている男と若造、年の差があるはずなのに『兄弟』っすか?
    そ、それとも何か意図があって『ブラザース』!?
    マジボケなのか確信犯なのか・・・荒墨警部同様kazuさんも謎の人です。。。
    先日から混乱しまくっている私にどうか教えてくださいませm(_ _)m
    追伸:この2人、絶対明治さんへのプレゼンに参加すべきです♪

  7. Zoccha

    >「てか、カズさんもしかして煮詰まってるの?」
    ぶわッはははは!
    煮詰まってる、煮詰まってる!
    それも気温35℃超の日、冷房故障寸前なのに、
    「省エネのため当店では温度設定を高めにしております」の貼り紙がすでに茶色くて白々しい、
    しけたうどん屋でいただく遅めのランチ。
    しかして正体は、
    「煮込み過ぎた真夏の鍋焼きうどん味噌味」!!!
    夏場にも煮込みうどんをメニューに載せる強気に多少の敬意は表しながらも、
    注文するヤツがいるんだと、お店の人にあきれられてるのが明らかなシチュエーション・・・
    って、たとえが長過ぎやろ!
    もう面白すぎるから・・・もっと書いて \(▽ ̄\)゚・*:.。. .。.:*・゚

  8. ikuko

    あら、荒墨警部、本橋刑事お久しぶりですね。
    あなた方にお会いしたのは確か金木犀の香り漂う頃でしたね。
    それがいつしか、桜も舞い散り、あじさいの花も咲き終わり、
    向日葵の季節ですよ。
    その間に作者は、タンゴ歌ったり、ロシア人になって西洋将棋やったり、
    挙句の果てはロスでセクハラまでやらかしてたんですよ!
    最近では伊豆でたくさんの075を侍らせて、まったりしていたようですが…(笑)。
    あなた達の監督不行き届きですね。
    作者が小猿にならないよう、今度こそ見張ってなさい(笑)!

  9. 惠子(^_^)v

    一孝さん(o^∀^o)
    ブログの更新♪ありがとうございます。
    『出たがりのふたり』
    何かと思えば、荒墨孝一様と本橋自由様ではありませんか!(^w^)!
    嬉しい〜(≧∇≦)
    去年からこの物語、大好き♪でしたから(^_^)
    しかも今日は、拍手入り…PACHI PACHI PACHI〜
    本橋自由刑事は、緊張するタイプなのかしら?
    そういえば、荒墨孝一警部は、学生時代 図工がオール5で、まわりから頭一個出てたなんて言ってたこともありましたね。(笑)(^w^)
    あの時も本橋自由刑事は荒墨孝一警部の右腕でしたね(o^∀^o)
    『知恵袋完全版』作成も協力しあってくださいね♪〜θ(^0^ )
    でも、お二人とも無理はダメ(∋_∈)
    打瑠谷総合病院に入院になってしまいますから…☆
    大変になったら、新人で岸刑事を入れてみるのは、いかがですか?(⌒〜⌒)

  10. あんず

    教授、新作コントの書下ろしありがとうございまーす。(え?コントじゃない?笑)
    いや~、やはりこのシリーズは面白いっ!!!
    麦茶飲んでたら確実に噴き出すとこでした。危ない危ない…(≧ω≦。)丿彡バンバン
    『出たがりブラザース』立ってる場所 “劇場”というよりは”演芸場”を想像してしまうんですが、気のせい?
    てっきり退院していると思っていた荒墨&本橋両氏が長期入院だったとは(笑)
    というか最後の擬音(<ダッ><トンパッ><グラ〜リ><ドムッ><シュルシュルシュル><ザ〜〜〜〜〜〜>)で再入院とかになってないといいですが。
    あ…、荒墨警部は下唇が水膨れだから病院行き決定か(爆)

  11. ハイコ

    kazuさん こんにちは!
    でた 出たp(^^)q
    可笑しすぎて お腹抱えて 笑いが止まりませんよ(>_<)
    涙も出てきちゃいます。
    頑張ってますね!
    今日は 少し 過ごし易い日中でしたでしょうか?
    はかどりましたか?

  12. maki

    あはは♪ほんとだ。
    今からこんな調子で大丈夫なんでしょうか…心配だなぁ。
    今までだってこれからだって、やはりお二人の力無しには、やりおおすことはできませんから、仲良く作者とも一致団結して頑張ってくださいね。
    待ってます♪

  13. yaya @ランチタイム

    てか、カズさんもしかして煮詰まってるの?
    やれば出来る子!(b^ー°)
    おきばりやす!

  14. maki

    三銃士の頃といっても、警部たちは終わってから登場されてますし、選手権は11月に開催されましたから、「2011年下半期のブログ」というべきでしょうね。
    もう最高!
    石井さんの才能炸裂でしたね!
    ここにあるのは、ごく一部でしょ?
    とっても懐かしくて、他のも見たくなって、携帯でチマチマ6件ずつ遡って読んできました。
    10月7日に脳内にお二人がチラッと初登場されてましたね♪
    面白かったな〜♪
    好きだったな〜♪このシリーズ。
    この4月にまだ入院されていたお二人が登場した時も嬉しかったです♪
    是非これからもたまに登場させてあげてくださいね。
    難しいかもしれませんけど。
    ではでは♪

  15. maki

    ななな懐かしい〜〜!!!!
    荒墨警部と本橋さん!!
    すっかりお元気になられたんですね!!
    そして相変わらず可笑しすぎです!!お二人とも!!
    も〜ステージの上で何を長々と二人で話してるんだか!あはは♪まったく!
    もはや擬音語の3つ目以降は想像すらできませんでした。いったい何がどうなったんだろう?
    読みながら、あの赤提灯と焼き鳥の匂い漂うノスタルジックな描写が好きだったな〜また読みたいな〜なんて思っていたら、なんと!!思い出コーナーにありました!!!!
    わ〜い♪♪♪
    そうそう!床の端がめくれてるそれです!!
    わ〜♪どれもこれも懐かしいな〜♪
    嬉しい総集編を有難うございました♪♪
    この三銃士の頃のブログは、荒墨&本橋シリーズ、選手権に応募コメント多数、裏ブログの7人のアラミスのコメントを含め、ブログ史上最高傑作に違いないと真剣に思っています。
    後にも先にもこれを越えるものは、出てこないんじゃないかな。
    石井さんはどう思われます?
    ではでは♪
    本日もソングライティング業頑張ってくださいね♪

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