マテ・カマラスさんと共に ~ ウィーン版ミュージカル「エリザベート20周年記念コンサート」を見て ~

ブエナス・ノチェス。セニョリータス そしてセニョーレス!

『招かれざる客』千葉公演を明日にひかえた本日、急遽チケットを取りシアターオーブに行ってきた。そう、ウィーン版ミュージカル「エリザベート20周年記念コンサート」に…。

そもそも『エリザベート』が好きなのと、今回の公演がとりわけ素晴らしいという噂を聞きつけ居ても立ってもいられなくなったのだ(笑)。さらに俺の芸歴と同じ「20周年」というんだから、縁もゆかりも動機さえも大いにあると自己判断したのだ(再笑)。

東宝版や宝塚版はそれこそ何度も見ているが、ウィーン版というのは初めてだったので、ドキが胸胸の気分で渋谷の新劇場に伺った。初めて行ったこの劇場はなんだか最新鋭な空気感で、レトロな俺はちょっとドギマギしちゃったよ、おい。めっちゃカッコイイ劇場であった。座席も広かったなあ。

内容の方は、あ~た、そりゃあ感動したよ。作家が作った原語での上演というのは….耳に入ってくる音の質感が素敵だね。ドイツ語はまったく分からないけど、メロディーとの相性がすこぶる良いのだ。作詞のクンツェさんが作曲家リーヴァイさんの音に乗るように苦心して紡ぎだした「言葉の響き」がひたすら心地良かった。強くもあり軽やかでもあり胸をしめつけるような確かな響き。もちろん字幕が出るし、ストーリーも知ってるので違和感なしでした。

キャストの実力も、卒倒しそうなGreatの太鼓判のレヴェル。誰もが誇りを持って愛情を持って演じているのが分かり、心が熱くなった。シシィ役のマヤ・ハクフォートさんは筆舌に尽くし難い存在感。1000回もエリザベートを演じてこられたそう。す、すごいね。いやあ、マヤさんを初め誰と言わずみんなグレートだったな。みんな歌も素晴らしかったが、俺は芝居がもっと素晴らしいと思った。登場人物の苦悩や葛藤や後悔や真実が、よく分からない言語を通してとてもよく分かったのだから….。

今さら語る必要もないが、リーヴァイさんの音楽の緻密さとダイナミズムに脱帽だった。一聴して耳を捉える「あのハーモニー」が最大の魅力じゃないかな?オーケストラのアレンジと指揮者と演奏者さんの腕前も素晴らしかった。アダルトで濃密な和音感….学術的な、極めて理に適った転調の連続….クラシックとロックの絶妙な結婚….実は難しいのに覚えやすいメロディー….サイコな感情を表す不協和音の嵐…..良いとこ尽くし(笑)。

終演後には、マテ・カマラスさんに挨拶をしに楽屋へ。

年末年始のシアター・クリエ『One Heart musical festival』では同じ板の上で歌うことになるマテさん。『チェス・イン・コンサート』の時、青山劇場の廊下でツーショットを撮ったことはあるのだが、ちゃんと話をするのは今回が初めてだった。

ステージを降りたマテさんは妖艶で男臭いトートとはまったく違い、お茶目な感じで、優しそうで、腰が低く、とても礼儀が正しい青年だった。柔らかな微笑みと共に「12月…働きます…あなたと…」と言ってくれた。「アナタニモ…チェルシー…アゲタイ」のような爽やかな後味をいただいた。前からマテさんのロック魂に溢れる歌声が好きだったのだが、もう今や大ファンになっちゃった(笑)。気さくで温かい人柄に落ちました。

人柄って大事じゃない?君は歌声重視派か?人柄重視派か?お笑いセンス重視派か?どれなんだ?

なお、この公演は10/31までシアターオーブで上演しています。気になるあなた…どうぞお出かけ下さい。

トートのマテさんと俺

A4チラシ表


46 thoughts on “マテ・カマラスさんと共に ~ ウィーン版ミュージカル「エリザベート20周年記念コンサート」を見て ~

  1. Zoccha

    スペースお借りします。
    >FROM KAMA さま
    なるほど!
    あのつる植物はせりふや歌詞にはなかったので、何と呼ぶべきか・・・
    情報ありがとうございます。
    特にエリーザベトの衣装、場面ごとに、あの植物の大きさが変わる・・・腫瘍も自己治癒能力・免疫力で増大・縮小・・・人体と一緒です。
    私はオペラ大好きで、生きているうちに最低300本は観たいと思っています。
    人間業とは思えない、マイク無しの声の振動で自分の顔や上半身が震えるあの感覚がやみつき、
    またストプレも大好きで、
    とにかく自分の嗜好として、舞台公演では「芸術性」を最重視してきました。
    何に主眼を置くかは、観る人それぞれ楽しみ方はあり、私の場合は「芸術性」です。
    私にとっては芝居を観る事は、娯楽と言うより「修行」のようです。
    せりふを一言一句逃さず暗記できるくらい集中しているので、どっと疲れます。
    ミュージカルというジャンルは娯楽の要素が大きく、
    音楽の「複雑性」からすればクラッシックの比ではないし、
    歌もマイクを通している、
    ストプレに比べれば詰めが甘い台本が多くて、
    芸術性という点ではほとんど注目して来ませんでした。
    さすがにNYやロンドンでの、オリジナルのミュージカルには、
    すばらしい作詞・作曲、歌やダンスに圧倒的な名人芸を目撃する機会が多々あり、
    現地または来日公演のオリジナルキャストの多いミュージカルは、オペラ優先ではありますが、
    時間があれば相当観ています。
    今回、ウィーン版のこのミュージカル、キャストの実力、特に演技力がすばらしく、
    1回目1幕見終わって、あのつる植物の意味を悟り、
    なんていう細かい演劇的配慮かと非常に感心しました。
    ここまで芸術性の高いミュージカルも珍しいと思いました。
    オペラ同様、総合芸術ですから、これは団体競技なのです。
    誰か一人名人を連れてきても、それほど平均点は上がらない。
    脚本、作曲、キャスト、スタッフ全員がすぱらしいことが、総合点を上げる。
    私の中では「歌の入っている演劇」という意味で、オペラもミュージカルも実は同列なのですが、
    今回、この間の新国立15周年記念オペラ「ピーター・グライムス」とこれと、
    どちらを今年の「歌有りジャンルMYベスト1」にするか、
    迷います。
    「エリザおたく」で世界中回られるそうで、是非弟子入りしたいくらいです。
    またお話しうかがいたいです・・・
    教授とエリゼ座談会やってください~~~
    いろいろ教えていただき、ありがとうございました。

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