安奈淳さん…その揺るぎなき魅力<後編> ~風のようで…波のようで…星の瞬きのよう~

October 6th

小さい頃から大阪の従兄弟のお姉ちゃんに「安奈さん素敵論」を叩き込まれていた俺にとって、『花嫁付き添い人の秘密』はドキドキとコソコソの現場であった。え?なんでコソコソかって?あ~た、そりゃあ初対面で挙動不審だったからに決まってるがな(笑)。

安奈さんがどんな方なのか….俺には未知の世界だった。会った瞬間に「顔が濃ゆい」って怒られるかもしれんやろ?ってそんなんイヤや(笑)。

俳優の俺にとっては雲の上の大女優さんで、個人的には勝手にものすごく馴染みのある女優さんであったのだが、会ってみたら果たしてどんな方だったと思う?

最初にお会いしたのは、都内の音楽スタジオで「コリーンのテーマ」の音符確認稽古をした時じゃなかっただろうか?この日までに一所懸命メロディー譜を書いて、ガイドのデモテープを録音して、歌詞などの資料をお渡ししていたのだ。

自然体でスタジオに現れた安奈さんは、「おはようございます」と丁寧に挨拶して下さり椅子にゆるりと腰掛けられた。その動作が、銀幕のスクリーンの映像かと見紛うくらい美しかったのを覚えている。しばらく談笑していると「凛とした佇まいと隠しきれないオモシロオーラ」の両方を纏っていらっしゃることが分かった。B型だそうだ…..それで納得した(笑)。B型の塾生さん、むろん反論はないだろうね(爆笑)?

俺のメロディーを一音一音確認するように歌って下さったのだが、もう最初からめちゃくちゃ上手かったよ!!!でもニコニコしながらも真剣な眼差しで「練習してきます」なんて言って下さった。うわ~なんて謙虚でプロフェッショナルな方だと思った。やはり、俺の持論を裏付けするように、安奈さんは「人間力」が突き抜けて優れている方であった。癒しと華と謙虚さと自信…これらが一体となって身体から溢れる魅力が、俳優には必要だと思うのだ。

稽古が進んでいくにつれ、「ここはこう歌って欲しいのですが」とお願いしたり、逆に「ここはリズムがとりづらいわ」などと相談を受けたり….作曲家・音楽監督として対峙していても安奈さんから学ぶことは大きかった。おっしゃることが一つ一つ的を射ていた。なるほどと思う事ばかりだったのだ。

本番での、コリーンママの確実で大胆でなお繊細な演技は今も忘れられない。俺の作った歌も完全に自分のものに消化して下さり、想像していた10倍も素敵な音楽に仕立てていただいた。演劇の持つ可能性と優秀な俳優の持つ無限の力を痛感した。

『花嫁付き添い人の秘密』の東京千秋楽。楽屋を廻って、キャスト全員にお疲れ様でした!と告げた。安奈さんから「あなたは普通の俳優さんかと思っていたけど、とても優れた音楽家でもあるのね。素晴らしい曲を作ってくれてありがとう。本当にお世話になりました。今度は是非一緒に舞台に立ちたいわね…フフ」というようなことを言っていただいたのだ!!!!!もう…天にも昇るような嬉しさであった。君にはこの嬉しさがわかるか?おば、おば、おばちゃま、宙に浮いてつま先立ちな感じだったのよ(笑)。

ちなみに5行前のカギカッコの中身は、時間が経っている上に、あの時の嬉しさも相まっているので、5割くらい都合良く盛っている可能性ありです(笑)。

花嫁を見ていないあなた…大損です(jejejeje)。樹里ちゃん、安奈さんのあの感動の名芝居を見せて上げたい。なんとか時間を巻き戻して見て下さい。って無理言うな!!

あれから6年….遂に共演の日が訪れたのだ…..。っとここまでが前振りだったことにお気づきですか?過去最高に本題までの道のりが長い執筆になりましたが、それが何か(大笑)?

俺は安奈さんのお芝居が大好きでね、まずは滑舌の素晴らしさはダントツだ。どんなワードもすべて気持ちよく耳に入ってくる。素晴らしい技術だ。そして表情や呼吸や目線や声のトーン…すべてのモーメントから優しさや悲しみなどの「人生」がにじみでてくる所。俺はその凄さを、『招かれざる客』の稽古場でマザマザと感じている。

膠原病という高く険しい壁で塞がれた未来を、信念をもって、情熱をもって立ち向かったそのリアルな人生観が…安奈さんをオンリーワンな女優さんにしたのかなと思う。「人は悲しみが多いほど~人には優しくできるのだから~」という有名な歌詞があるけれど、その通りだなって思うんだ。

「神様はその人が越えられない試練は決して課さない」

時折耳にする言葉だ…が……越えなければならない本人の恐怖とため息と苦労と努力を考えると、この台詞を軽く口に出すことはできない。でも、安奈さんのような方を見ていると、心から尊敬するし、心からその克服に喝采を送りたいし、これ以上もう二度と彼女に壁を課さないで下さいと祈りたくなる。安奈さんの語る言葉の一粒一粒は、困難の山を越えてきた人生の旅人の汗と涙の一粒一粒でもあるからだ。

みんな、共に頑張ろうね。山を越え、壁を越えようね。

安奈淳さんは、絶対的な実力と華の裏側で、風のようで…波のようで…星の瞬きのように優しい方だよ。

北千住の初日まで1週間。お楽しみに。


27 thoughts on “安奈淳さん…その揺るぎなき魅力<後編> ~風のようで…波のようで…星の瞬きのよう~

  1. あこ

    『風のようで…波のようで…星の瞬きのように優しい方』
    なんて素敵!まさにそのとおり!! 
    読み終えてコメントぜずにはいらない衝動に駆られました。 
    石井さんと安奈さんとの素敵な出逢い★
    安奈さんへの思いがとても丁寧に綴られていて、
    ひとつひとつ噛みしめるように…頷きながら読ませて頂きました。
    安奈さんの声って不思議と心地いいですよね♪ 
    また更に安奈さんの魅力が広がりました。心から感謝します。
    『花嫁付き添い人の秘密』 観たかったなぁ~ おーい!ドラえも~ん!!
    安奈さんと石井さんとの共演。
    プレビュー公演がますます楽しみになりました。

  2. スイカ

    一孝さん、今、帰りのスペーシアの中です。若い親友は、7月に会った時には、ほとんど話せなかったのに、駅で「いらっしゃい。」と迎えてくれて、びっくりしてしまいました。子どもの成長は早いですね(笑)帰りの電車の中で、一孝さんと優しい塾生の皆さまの楽しいお話に癒やされています。ありがとうがいっぱいです♪♪♪

  3. P子さま
    フォロー戴いてありがとうございます。
    はい。 もちろん有名なフレーズなので存じておりました。
    『この言葉を最初に聞いた時』と書き入れれば良かったのですが・・・・・・すみません。m(__)m

  4. スイカ

    アガサ・クリスティーの『オリエンタル急行の旅』にあやかった、『東武特急スペーシアの旅』も後編になりました(笑)せめて、気持ちだけでもアガサ・クリスティーの世界へと思ってアイス珈琲を注文してみました。外の景色は日本の畑です(笑)何回も、ごめんなさい。次は、東京に帰ってから…。お稽古、楽しんでくださいね♪いってらっしゃい♪

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