結果発表2 ~恐怖の実話~

その日はいつもと変わりない1日になるはずだった。マサ船長との闘いのシーンを終え、日生劇場の楽屋を出て、家路につき、夕飯でも食べてその日を終えるはずだった。

「だった….」と書いた。そう、黒い影は音もなく自分に近づいてくるのです。

2月のあの日。夕暮れ時。6:30くらいだったと思う。ちょっと所用があり、俺は車に乗って出かけていた。メールを打たなければならない用事を思い出し、路肩に車を止めて、メールの文字を黙々と打っていた。その時….。

何やら怪しげな車が俺の車の前にスルスルっと入って来た。それも斜めに….。俺の行く手を阻むように止まったのだ。まるで「西部警察」とか「大都会」とかの刑事ドラマで見たことのある、緊迫した止め方だ。”覆面パトだな”、俺の鋭い感覚が答えを導きだした。

   コンコンコン。突然、2人組の男のうち年配の方が俺の窓を叩いた。いかにもベテランという風情。彼は少し笑顔で切り出した。
「あ~、お忙しいところすみません。ちょっとお話ししても良いですか?」
   若い方の男のすわった目が視野に入った。
「は、はい、何ですか?」
    少し不機嫌に俺は答えた。
「いえあの、我々はこういう者なんですがね」
   そう言いながらベテランは黒っぽい手帳を風のように妙にユルリとかざした。
   な、な、なんだこれ?「踊る大捜査線」のロケか?黒いのは所謂 警察手帳ってやつか?ところで俺って疑われてるのか?
「あ、はい」
「ずいぶん忙しそうですね?緊急のメールですか?」
「ええ。ちょっと急ぎで返信しなくちゃならなくて」
「あ~そうですか。。。お兄さん…良い声ですね」
    何かマズい気配がした。だっていきなり声を褒めだしたからな。このベテランは何か言い淀んでいる。そして時間を稼いでいる…。目をバックミラーに 移すと、目つきの悪い若手が中腰になってバックナンバーを調べていた。俺は何をやったんだ?ただ顔が遠距離対応なだけじゃないか。近距離目力禁止法が施行 されたというのか!じゃあマイケル富岡さんはどうなる?
「もしかして俺って疑われていますか?」
「ええ…いや、まあ…..」
   どえりゃあ口ごもっとるぞ、このベテラン!!!笑ってるかと思ったら目は笑ってないぞ!!!俺は背中に冷やっとしたものを感じた。冤罪だ。とにかく冤罪だ。
「あの、何が問題なんですか?」
「いやね、お兄さんはこっちの人かなと思って」

   ベテランの人差し指が、紛れも無い動きで、ホッペタの上から下に10cm移動した。

「ハッ?そ、そ、そんなことありませんよ。」
   空気に飲まれて、俺は妙に不自然にどもってしまった。まずい!今のリアクションで本格的に疑われたんじゃないか?俺は誓って冤罪なのに。
「でも車で近づいてきた時にチラっと覗いたら、お兄さんの目はただ者じゃなかったよ、なんかこうカタギの人じゃないオーラがあってね。それで少し職務質問をね….」
「いやいや、もしかしたら今、悪役を演じてるからかもしれません」
   俺は正直に素性を語った。その瞬間、悪目つきが、首を切って俺を睨んだ。
「え、あなた俳優さん?」
「はい。そうですが」
「どうりで目が利くわけだ。ああそう。悪役専門なの」
   専門じゃありませんと答えようと思ったが、もう何でもいいから早く解放されたかったので俺は何となく頷いた。

それからトランクを開けろとか、カバンの中を見せろとか、ひとしきり尋問タイムが続いた。どうぞご自由にと俺は答えた。ベテランと悪い目つきのコンビは、勘がはずれた気まずい表情で15分ほどして帰って行った。
これは実話です。まあラモンが私生活にまで乗り移っていたんだろう。俺は憑依型だからな。役者としては勝利だが、心臓に悪いので本物の刑事とはもうこれきりの関係にさせてもらいたいと思った(笑)。こういう刑事ドラマみたいなこと、みんなは経験ある?
なんか俺の身の回りには、面白いことがよく訪れるんだよな。 

さて、「Zorro目 選手権」の第二次当選者を発表します。心からおめでとうございます。

★ゆりえさん    『愉~快班』
ペリさんも愉快班での提出がありましたが、初出を優先させていただきました。ごめんなさい。ゴンちゃんは牛泥棒。誘拐と愉快をかけたところが秀逸。さえてますね!

★カスミさん    『最後の審班』
処刑直前の緊迫した空気(ゆるい空気だった気もするが….)にピッタリの担当。あの名画が目に浮かぶ素晴らしい班名だと思います。ナイス!

★makoさん     『こてん班』
ダハハハハ。可愛い~~。うちのゴンちゃんが近所の子供達にポコポコ叩かれて泣いている様が目に浮かびます。でも千秋楽が近づくにつれ腕力をつけたゴンちゃんは、最終的に近所の子供どころか親分のガルシアもコテンパンにできる実力を身につけました(笑)。

★米子さん      『君がため 春野の野に出て 若菜摘む 我が衣手に雪は降りつつ班』
お~これは参った。米子さんの知性に降参です。しかしこんな文学的な班を任命されて、うちのゴンちゃんはしっかり務まるのかの~?

★ぽんこさん     『順風満班』
これも俺のネタ帳にあったものなんだけど、誰にこの班をつけたら良いんだろう?と思い、遂にネーミングできなかったとです。しかし、そうかゴンザレスがいたか!彼の愛らしい笑顔と茶目っ気たっぷりの性格が、ゾロ号を無事に浪花まで運んだんだよね。素敵な班名。

★ひろみィさん    『常習班』
なんとゴンちゃんは泥棒の常習犯だった!何度罪を重ねても懲りることなく、いつも笑顔で生きて来たとは。おそるべき男。その悪人ぶり、ラモンを越えてるかも。少なくとも刑事にビビってる赤津崎よりは悪が似合ってますな(笑)。

★ナルさん      『班長』
やられました、ナルさん!そうか、全ての班を束ねる「班長」の存在を落としていました。「~~班」じゃなくてもいいのか。柔軟な頭の良さに痺れました。ゴンちゃんが影のリーダーっていうのはあるよね。こりゃあ一本取られたな。鮮やか!

★チョロさん     『Made in JA班』
マオミさんも同じものを書かれていましたが初出を優先させていただきます。海外版の名前はペドロ。しかし日本では俺の名付けたゴンザレスが採用されました。すなわち彼の名前は日本製。その通りでございます。これも流石としか言いようがないっす。

★夢子さん      『怪盗ル班』
面白い空想の世界をありがとう。そうだね。ゴンザレスが実はゾロ号の明暗を分ける活躍をしたのは事実。変装の名人だった可能性は高いね(笑)。しかしラモンが銭形。ゾロが五右衛門。ガルシアが次元。イネスが不二子ちゃんとは….。大笑いしました。最高の発想に脱帽。

★まちこさん     『愛がぱん班』
微笑ましい名前。ゴンちゃんの性格の良さは両親の愛をたっぷり受けていたからかもね。そして出演者からもお客さんからもこれだけ愛される彼は間違いなく人気者です。「愛がぱん班」納得だね。

★る さん       『裏班』(裏番長) 『おなかがパン班』
ゴンちゃんは実はラモンをも動かす影の裏番長だった。お~~壮大なロマンが。そんな複雑な個性のある役なら再演時には俺が演じてみたいかも(笑)。芋ちゃん、我ちゃんほどではなかったけど、彼もおなかポコリン系ではありましたな。フフフ。 余談ですが、片手にイネス…片手に受話器…是非やってみたいです(笑)。

さあこれで今日の11名も発表したよ。あなたの名前はありましたか?

ではお休み。

最後に、懐かしい愛すべきアラモとのツーショットをお届けします。アラモは自分のCDの売り上げを全て被災者のために寄付してくれました。何十枚分の売り上 げだからかなりの額になったと思います。彼の優しさには涙が出そうでした。あんなに優しい人いないよね?人種を越えた愛の形だったと思います。スペイン語 で何度もお礼を言いましたが、今もう一度言いたいなあ。普段はものすごいお茶目さんでもありました(笑)。

Alamo,Muchas Gracias!!! 

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