おはよう。麗しのマドモアゼルの皆様。
おとうちゃんと共に歩んで来た『クリコレ』の日々も、東京公演のこり4日となった。なんだかとても寂しい。きっとそれは…我らが山口祐一郎さんのあったかスマイルと離れ難い想いだからだと思う。精一杯、今日の日を生きてきたい。
前にも書いたけれど、中川晃教くんと俺は『チェス』『キャンディード』という2大ヘンテコ&難曲ミュージカルを演じてきた仲間だ。その異常な難易度から「吊り橋理論」が生まれ、2人の絆ができあがったのだ。
『チェス』は先月も上演していたので皆様お詳しいでしょう。
今日は、きっとみんなが詳しくない(笑)『キャンディード』のことを少々話したい。
俺が演じたのは2001年6月。宮本亜門さん演出、佐渡裕さん指揮という目も眩むような布陣で挑んだ「日本初演キャンディード」。稽古場から、佐渡さんの熱く愛情たっぷりの音楽指導と亜門さんの天才の切れ味Directionが乱れ飛んでいたのを覚えている。
ストーリーは、私生児として生まれるが、明るく純白な嘘のない少年キャンディード(マジで12歳とかそんな設定でした・笑)が、挫折と苦悩を経験しながらも世界中を旅して本当の自分を探そうというもの。
奇天烈でしっちゃかめっちゃかなストーリーだったので、ドタバタ感も満載…なのに曲はクラシックにも通じる超名曲で極めて美しい旋律の雨霰。そのギャップが懐かしい。˃ꌂ˂⁎)
後に、アッキーヴァージョンも井上芳雄くんヴァージョンも見ているが、もはや客観的には見られないので(笑)、いつも涙がとめどなく零れてしまった。2人ともブラヴォーでした。よくもあんなに難しい曲をこんなにまあ立派に歌って…凄いな。そう思います。
難しくて難しくてめっちゃ苦労したんだけど、だからこそ愛しくてしかたのない大切な作品です。今も忘れられない恋人の面影…そんな存在かな。生涯で最も胸を刺す素晴らしい作品かも。
作曲は、ウェストサイド物語でご存知レナード・バーンスタイン大先生。レナードが「私が本当に書きたかったのは…ウェストサイドではなくキャンディードだ」と語ったという渾身の一作なんですよ。知ってましたか?
でも、何度改訂しても曲を書き足しても、どうしても大ヒットにはならなくて…「靴の中の小石のようだ」と形容したのも有名。どうしても取れないものだったわけ。
しかし、何度も言いますが、相当なクオリティーですぞ。是非、CDなどで聴いてみてね。俺の舞台もできたら見て欲しかったなあ。ああ今も胸の奥がキュンとなる…亜門さんと佐渡さんと熱く燃えた30代前半の春(笑)。演じた役は10代(再笑)。
この作品の楽曲はすべて名曲ですが、キャンディード少年の歌うナンバーを中心に何曲かリコメンドします。
★キャンディード序曲
http://www.youtube.com/watch?v=2j3Ir5xirg0
これは高校の吹奏楽部などでもよく演奏される超大曲。この曲を聴いて痺れない人はいないのではないか?演奏がめっちゃ大変そう。大好き!
★キャンディードの嘆き
http://www.youtube.com/watch?v=RuLRIYLHkbc
ガールフレンドの「クネゴンデ」と結婚したいとお父様に告げるも、「お前みたいな私生児に娘をやれるか!」と罵倒され、追い出され、国外追放になるキャンディード。あてもなく放浪の旅を続けていたある日、隣国との戦争が勃発。愛するクネゴンデの安否を確認し国に戻る。
しかし…キャンディードが目にしたのは「一面の焼け野原」と「絶望」であった。一縷の望みをかけてクネゴンデを探すも彼女は見つからない。彼女を守ってあげられなかった悲しみと悔しさが彼の胸にこみあげるんだよね。
「大好きなクネゴンデは…きっと天国に召されたんだ」と自分を納得させようとするキャンディード。「僕も彼女の元に行きたい。死んでもかまわない」とさえ思うキャンディード。自分を責める彼が愛しい曲。ため息の雪が降るような「孤独と嘆きのアリア」。
★Nothing More Than This
http://www.youtube.com/watch?v=F0bcrNuzSLs
しかし、それほどまでに悩み苦しむキャンディードとは別次元で、しっかりとちゃっかりと(もちろん彼女なりの苦しみはあります)生きているクネゴンデ(笑)。2幕ラストで、お気楽に生き続けていたクネゴンデと対峙し、こんな風に君と再会するなんて…と嘆くキャンディード。しかし、彼女への哀れみと失望が、彼をふたたび成長させることになる。
★Make Our Garden Grow
http://www.youtube.com/watch?v=vDETC5HTxvA
最終的に、彼女と別れるのか結婚するのかで悩むキャンディードだが、彼が選んだのは「クネゴンデと生涯暮らして行く」という選択肢。すべてを認め、すべてを洗い流し、すべてを抱きしめて….新しい未来という大地を耕して暮らしていこうと決意する彼が愛しい。
へなちょこで弱虫だった彼が、泣きながら世界を旅し、荒れ狂う真実を見つめ、苦しみの泥を舐め、不条理な床に跪き、最後には逞しく立派な青年に成長する。僕等もそうありたいと思わせる…そんなエンディングであった。そのオーラスを飾るのが「Make Our Garden Grow」。全キャストが舞台の前っつらに立ち全力のアカペラで歌った2幕ラストは、演じながら感動で涙が止まらなかった。
俺の人生を変えたミュージカル。それは『レミゼラブル』で『ミスサイゴン』で、そして『キャンディード』かもしれない。今、そう思う。
そうそう。もう一つ、思い出したことがある。
『キャンディード』を演じていたある日。バーンスタインのマネージャーさんが楽屋に来てくれてニコニコした顔で俺にこう言った。「キャンディード役をベルカント(イタリアオペラの理想的な歌唱法)以外の歌い方で歌ったのは、君が世界で初めてだ」と。
世界初で個性的…そう受け取った(あほ)。悪い気はしなかった。っていうかアタクシはバッタもん唱法なので、ベルカントで歌えませんから(笑)。
それでは、ささやかなセレクションですが、どうぞご覧下さい。チャオ。あ、祐楽町に行かなくちゃ!
3月29日(土) 草月ホールにて『石井一孝ソロコンサート “熱情” ふたたび』を開催します。
チケット発売は石井一孝公式サイト にて 1月26日 AM10:00より発売開始デス。
★石井一孝 公式サイト
https://kazutakaishii.com
ゲストには…マリウス・アンジョルラス時代からの20年来の朋友 岡幸二郎くんをお迎えします。
ミュージカルからオリジナルソングまで歌い倒します。そしてデュエットソングに何を持って来るのか?焦点はここでしょうか(笑)?爆笑トークも合わせてご期待下さい。✲゚。.(✿╹◡╹)ノ☆.。₀:*゚✲゚*:₀。
シアタークリエのロビーで、ミュージカルの名曲をどっさり歌っている『Treasures in my life』を発売しています。よろしかったら眺めて下さい。いや手に取ってそのまま返してもいいです。気が向いたらお札と交換してもいいデスヨ(笑)!!!
<ACT1>
1、Why God Why? 『ミス・サイゴン』より
2、I Think I Can Play This Part 『グッバイガール』より
3、She’s A Woman 『蜘蛛女のキス』より
4、届かぬ想い 『愛と青春の宝塚』より
5、Anthem 『チェス』より
<ACT2>
6、Bui-Doi 『ミス・サイゴン』より
7、Fill In The Words 『デュエット』より
8、So In Love 『キス・ミー・ケイト』より
9、闇が広がる (Duet with 浦井健治くん) 『エリザベート』より
10、What You Own (Duet with 坂元健児くん) 『レント』より
11、I’ve Grown Accustomed To Her Face 『マイ・フェア・レディ』より
<Curtain Call>
12、三銃士メドレー (with 井上芳雄くん 岸祐二くん 橋本さとしさん) 『三銃士』より
教授、おはようございます!
連日お疲れさまです。
『キャンディード』残念ながら未だ未経験ですが、
見事な難曲揃いですね。
初めてCHESSの楽曲を聞いた時と同じ気持ちになりました(^^;
でもこれ、聞いてるうちにクセになるヤツですね♪
教授の過去作品、見たかったな~は たくさんありますが、
何らかの機会にチラッと聞けたりすると、とっても嬉しいです(▦^╰╯^▦)♬゛
クリコレ東京、残りわずか、楽しんでくださいね~❁
石井さん、おはようございます(^^)
昨日は2回公演お疲れさまでした(__)
如何でしたか?
>「キャンディード役をベルカント(イタリアオペラの理想的な歌唱法)以外の歌い方で歌ったのは、君が世界で初めてだ」と。
ASPの時だったかに仰ってましたね(*^O^*)
アカペラ♪そうでした。壮大で圧巻でした。
10代?20代前半には確実に見えましたよ(笑)
舞台上の石井さんの後ろ姿好きにはたまらないシーンがあって、何でだったか捕らわれてロープで縛られてた(何か怪しいプレイじゃないですよ(笑))のが、忘れられないです(〃▽〃)しょうもないところを覚えてて、すいません(_ _)
石井さんキャンディードは、全幕同じ衣装でしたよね?
上下白の衣装がとっても似合ってたし、髪型も悩んだかいがありましたよね(o^-‘)bお写真懐かしい。
あっ、今日は今年初の診察(検査)日、悠長にしている場合ではなかった。
巷では、ノロウイルスやインフルエンザが流行ってるみたいです。
日中は少し暖かいらしいですが、夕方頃から寒くなるそうなので、気をつけて行ってらっしゃいヾ(^_^)
私も気をつけます。
おはよーございます!
加筆と10代の美少年(笑)のお写真ありがとうございます!
確かにバーンスタインはかなり体調が悪い時でさえ、
『キャンディード』のタクトを振り佐渡さんを驚かせたという逸話もあるほどです。
観劇された皆さまが羨ましいです。
アッキー版DVD欲しいな…でも高いな…でも欲しいな。
ということで稼ぎに行ってきます(笑)。
今日もステキな舞台を♪
いってらっしゃい(^^)/
かような時間に起きているのは、泥棒くらいなものだと思いつつ、コソリと失礼致しまする。
昨日、クリエにて聴きし素晴らしき歌の数々があまりに素晴らしく、眠れずに…
キャンディード!
クネゴンデ嬢が超絶技巧を駆使して歌う「煌びやかに着飾って」と「われらの庭を造ろう」の2曲しか存じあげず、教授様が題名役を演じられた日本初演も見ておらず…
ワーグナーの「リエンツィ」と同様、心清く汚れを知らぬ、聖なる愚者に大いなる恵みが与えられる譚なのでございましょうか?
教授様・麗しき塾生皆々様の博学は、本当に素晴らしゅうございます。
クロちゃん様、そうでしたか。ジェリー・ハドレイ氏がかように悲惨な死を遂げておられていたとは…合掌。
そして、オペラの金科玉条だと思っていたベルカント唱法が、今や時代遅れとなってしまっているとは寂しゅうございますが、それも世の流れにございますね。
教授様にも、夜去り遅くに加筆・そして水も滴る美青年写真のUP、ありがたき幸せ。プリントアウトの上、パウチして御守りに致しまする。
「我らの庭を造ろう」は、東日本大震災の翌年・2012年NHKニューイヤーオペラコンサートのエンディングに演奏されておりました。
「The Garden」は「エデンの園」を意味するそうですが、この曲の「garden」には「The」はつかず、「エデンの園はもうないんだ」という歌詞も出て参ります。
「この世にもはや楽園はないけど、この手で1から木を植え、畑を耕し、僕らの庭を造ろう」という歌詞に、深く感動致しました。
バーンスタイン氏らしい、ヒューマニティあふれるこの傑作、次回上演される折は必ずや観とうございます。その時には、教授様の無垢なキャンディードにお目にかかれますことを祈りまして…
間もなく夜明け、おいとまいたしまする。
教授様、本日もどうかお元気に舞台をお務め下さりませ。
私、なぜか教授のキャンディードのパンフレットだけ持ってるんです。
アッキー版の舞台セットも同じような感じで、ちょっと感激(*´∇`*)
アッキー版のキャンディード!YouTubeで拝見できました!
なるほどDVDがあるのですね。
私、恥ずかしながら思いっきり日本人で英語が堪能でないので、初めて字幕スーパーで観たミュージカルと、英語のCDでは、半分も消化できてない感じがしてならなかったんです。日本語のストーリーの中で日本語で歌を聴いたら、全てがすんなり入ってくるようでした!面白かった!場面事にキレギレですけど。
男爵の令息マキシミリアンは、ニーロさんで、僕はハンサム、完璧ハンサムって歌ってました♪これもなかなか難しい歌でしたよ。
DVD、欲しいなぁ。ちゃんと頭に入れば、後は英語でもいいかも。
一生懸命、教授を思い浮かべながら観てもみましたよ。
加筆、有難うございました。何だか胸が熱くなりました。教授のこの作品に込められた思いが伝わってくるようで。それにとっても参考になります。
バーンスタインさんにとってのこの作品は、ビヨルン&ベニーさんたちにとってのチェスと似てますか?
二つとも、大変凝った曲作りに、普段作られている曲とは比べ物にならないくらい、作者がどれだけ情熱を傾けてきたかが伝わってくるような気がします。
ここは本当に為になりますね。
キャンディードに対するちょっとした苦手意識がなくなりました。
あ、英語はダメといっても、洋楽は大丈夫なんだなぁ。でもなるだけ歌詞は見ますけど。ストーリーが重要な舞台はとくに、ちゃんと理解したいですからね。
ではでは♪お疲れ様でした♪
有難うございました♪
「キャンディード役をベルカント(イタリアオペラの理想的な歌唱法)以外の歌い方で歌ったのは、君が世界で初めてだ」
これはすごい褒め言葉ですが、
もはやベルカント唱法がほとんど死語というか、時代遅れの現在のオペラ界のトレンドを見ると、
たったここ12-13年でなんと様変わりしたことか!
と、驚かざるを得ません。
会場はどんどん大型化、強靭、大声量が求められています。
バーンスタインはCandideには、並々ならぬ執着を見せ、
1988年にCandide完成の録音版を出しながら、
翌年もう一度譜面を書き直し、
お気に入りの歌手を集めてスタジオ録音し、1989年版を作りました。
再度の完全版宣言。
亡くなる直前まで、病気の事は伏せられていたから、
いつから本人が知っていたかはわかりませんが、
これだけは完成しておきたかったのでしょうね。
果たして靴の中の小石が取れて、彼がスッキリしたのか、
もはや知る由もありませんが、
ミュージカルとして初めは書かれ、いまやミラノスカラ座でも上演されるし、ミュージカルとしても上演されます。
自由度の高い作品であると言えます。
2001年版を見ていないのが、非常に残念です。
クリエで片鱗を垣間見ましたが、
CDになっていれば、リストの最後に加えなくちゃ、でした。
もっと聴きたいです。