『Chess祭』~8~ <完結編>

おはよう。霜月の週末。お元気にマチソワしてきましたか?俺は月末に控えたニューアルバムのレコーディングの準備や各種仕事の打ち合わせで、テンテコ舞いの毎日です。
さて、愛する『チェス』をもう少し語ろうと思います(今書き終わったらマル一日かかっていました 笑)。お待たせしました。チェス祭 完結編です。
ここ数日の皆様からの書き込みで一番オ~って思ったのは、英語で語られてることと日本語の歌詞がそこまで違うのか!ということ。初演の時にはかなり調べたんだけど、今回のミュージカル版では「荻田さんの書かれた宝石のような日本語」から芝居を組み立てたんだ。ご存知のように…日本語は世界でも一番メロディーに情報量が入らない言語です。だいたい1/3しか入らないと言われています。だから濁したりボカしたり意訳したりします。四分音符を2つに割って八分音符にして言葉を少しでも入れたり…ものすごく苦労して言葉をはめるんだよね。だから原語と同じ解釈にならないこともでてくる。
そこが、そもそも理解の難しい『チェス』を、より難しくしているのは間違いないね。でも、だからこそ想像するスペースも生まれるってわけ。
謎の多い「マウンテンデュエット」は、初演のコンサート版から謎のシーンなんだよね。たったあのシーンだけでフローレンスと愛し合うのは短いんじゃない?ってキャスト全員・お客様全員が思うよね。俺も最初は「嘘でしょ」って思いました。でも演劇には一目惚れとか一瞬で恋に落ちるとか多いし、いろいろ考えたなあ。
世界大会の初戦でフレディーに「いい加減にしろ」とアナトリーが怒って、カルテットがあって、その後が山の上ホテルのシーン(ブロードウェイ版ではテラスシーンになったと聞きました)。
心穏やかじゃないアナトリーがフローレンスに惹かれたのは、まずは美しさと気高さ。そして心に深い傷(ハンガリー動乱で両親を失ったことなど)を抱えていることを知って、自分の人生の暗い過去と重ね合わせたのだと思う。自分と似ている人にシンパシーを抱くことってよくあるよね?カルテットシーンでは、フレディーを一生懸命かばおうとして次第に支離滅裂になっていく彼女。そんな彼女を哀れみとシンパシーで見てたな。
マウンテンで言い訳をするフローレンスをたまらなく可愛いと思っていました。そうそう、前回まではマウンテンで共に愛し始めるというディレクションだったんだよね、芝居部分もなかったし。でも今回通して芝居をしてみたら、英語みたいに積極的な歌詞じゃないので、フローレンスがアナトリーをマウンテンで愛するのは難しいということになって「好感を持つ」くらいにしようと言ってたな。アナトリー側は、そりゃあ男子として美貌と麗しさには抗えないので(笑)1シーンでもイケマスという気持ちでいました(笑)。最後にアナトリーから手を握って、「あっ、つい手を取ってしまいました。失礼」みたいにしてたな。これは日本人的な解釈かもしれないけど、あの歌詞では外人みたいにガバッとはいきづらいわな。
で、マウンテンの後、すぐにフレディーが棄権するように見えた方もいると思いますが、実は5~6試合行われてるのは知っていましたか?「チャンピオンが5敗を喫している」としか言われていなかったのでわかりづらかったと思います。実際は6試合ほど…つまり10日くらい経過してました。この間もこっそり逢ったりしてたのではないかと思ってました。だって好きになったら逢いたいからね。この書かれていない空白の時間の間に、「あさましいパラサイト」のFlorence Quitsがあるんだ。
そしてフレディー棄権。
アナトリーはこの何年も十数年もずっと亡命を考えてたと思う。「今、そしてこれから何を為すべきか…それを自分で決められる自由」を渇望していたんじゃないか。当たり前だよね。やりたいことも自由にできず、言いたいことも自由に言えず、他人の言動を否定することもできず、24時間監視され盗聴されている身の上なのだから。そりゃあスヴェトラーナと子供達も連れて行きたいと思っていたでしょ。でも非常に危険な賭け。失敗すれば死だ。ソ連にいたら絶対に不可能な現実。
メラーノという自由世界に行き、なんとなくその扉が見えた時に…家族を見捨てれば亡命できるかもしれない。長年の夢が叶うかもしれない。世界一の座を手にした今ならその価値を買ってくれる可能性は高い。そんな声が頭の中で囁いたんじゃないかな。そしてそこにフローレンスがいた。
断崖絶壁から飛び降りる瞬間みたいな気持ちだと思ってた。気がついたらナイフを手にしていて、目の前に死体があるみたいな感じ。なんでそんなことをしたのか自分でも理解できないし、踏み入れてはいけない場所に足を踏み入れた自分を愚かしく思ってる。
修羅の世界に足を踏み入れた…そう思ってた。
単身での亡命…それが正しいか許せるのか、そんな理性的な判断を越えてボタンを押したのじゃないか。「亡命」なんて恐ろしい判断はやったことのない人にはその気持ちはわからない…そのくらいの決意だと思う。考えただけで胸が塞ぐ。悪魔に魂を売ったんだよ、きっと。そのかわり自由を手に出来ると、まだこの時点ではそう信じていたんじゃないかな。アンセムは修羅の道を歩き始めた自分を感じて歌ってたな。歌詞も英語とは大幅に違うので、決意と信念、そしてもう二度と戻れないその修羅の道をフローレンスと行く…その気持ちを感じてました。故郷を捨てざるを得ない状況になったこともない人に「故郷を捨てる気持ち」を聞かれて、心底腹が立ったんじゃないか。到底言葉で話せるような浅いものじゃないよね。その人の真実はその人の胸の一番奥にしかないのだから。
それから1年。「後悔」や「絶望」や「死んだ方がいいのかもしれない」などのネガティヴな感情に力づくで蓋をしていた。フローレンスだけは失いたくないって、つとめて笑顔でいようと思ってたんじゃないかな。それなりに平和で優しい幸せを感じた
1年。でも舞台では不穏な音がし始めるOne More Opponentからしか描かれていないので、フローレンスとの生活が幸せだったように見えづらい。でも2人はいつか割れてしまうかもしれない風船のような未来を、必死に抱えて生きていたと思うな。2人の未来が明るいものになると信じようとした。
フレディーがバンコックに来ただけであれだけ心を乱されるのだから、やはりフローレンスの愛がいつかなくなるんじゃないか不安だったんだよね。人から奪ったものは、いつか誰かに奪われる。そう思ってるんじゃないか。それはフローレンスも同じだね。
2幕で非常に難しかったのは、台詞が足りない点でした。契約上、外国から送られてきたティムライス氏の脚本を変えないで欲しい…とのことだったので、そこが戦いでした。
コンサート版では…フレディーに『フローレンスの父親は実は生きていて、アナトリーが負けるかソ連に帰順すれば(二択)、フローレンスの父親を解放する』と聞かされるシーンがありました。これは荻田さんがわかりやすくして下さった脚本です。
ところが今回は、『フローレンスの父親は実は生きている』ということをアナトリーは誰からも知らされるシーンがなかったのです。マジで?と思いました。フローレンスとフレディーはウオルターに知らされるのに…。まあ知っているテイでストーリーは進むという感じでした。
なおかつ『アナトリーが負ければフローレンスの父親を解放する』という流れになっていて、”ソ連に帰順するというチョイスを選択しても父親を解放する”という2択目が台本から消滅していました。これがティムライスの元々の台本ということで、非常に面食らいました。
でも、アナトリー的には『フローレンスの父親は実は生きている…』という情報を知らされずに、ディールで悩み苦しむのが難しすぎるので、フレディーに伝えてもらうという台詞を加えてもらったんだよね。ただ『アナトリーが負ければ、フローレンスの父親を解放する』という2択目のない台詞でした。
フローレンスの笑顔を見たい…こんな自分にできることがあるのなら力を貸してあげたい…悩み苦しみながらも、やはりアナトリーには「わざと負ける」ということはどうしてもできないんだよね。チェスだけに生きてきたアナトリーからチェスを取ることは…どうしてもできない。でもフローレンスを悲しませたくない。
エンドゲームで、妻の声に嘆き苦しみ、フローレンスの心の不安に魂を抉られ、自分のずるさと弱さにもがくアナトリー。自業自得の地獄絵図。でもそこに見いだしたのは、自分自身の決意で「勝つ」ということ。ちっぽけだけど確かな自由だったのだと思う。
決めるのは誰だ
私だ!
私が終わらせる
ゲームに今 終止符を!
これもまた修羅の道。二度目の修羅の道。
ストーリー的には「勝ってしまった」のだから「フローレンスの父親は戻らない」はず。でもティムの脚本には、「アナトリーはソビエト連邦に戻る。そして彼のソ連への帰順は立派な行動だ。アナトリーのお陰でフローレンスの父親は戻ってくる」という結論になってるんです。なんでやねん!という論旨で、台本を読んでビックリでした。
台詞は変更できないとのこと。
だから、荻田さんと考えました。エンドゲームで勝利した直後、振り返るとモロコフがいる。そのモロコフにアナトリーから手を差し出して握手をする。そこでお客様に聞こえる台詞ではないんだけど、こんな言葉を毎回ひのさんと交わしていました。
「モロコフ…私はチャンピオンとしてソ連に帰る。そこで話がある。フローレンスの父親を彼女に返してやってくれ。これは取引だ」。ヴィーガンドを破った憎き裏切り者のアナトリーからの提案に、モロコフはニヤリとする。モロコフにとって誰がチャンピオンでも構わない。ソ連がチェス界の王者であればいいのだから。
こんな芝居がなされていたこと…気付いていましたか?
なんでティムはもっとわかりやすい台本にしなかったんだろう?
アナトリーはフローレンスだけは失いたくなかったんだよね。だって悪魔に魂を売って、人生の大半を失っちゃったから。フローレンスこそが生きる意味。それなのに、フローレンスのためにできるたった1つのチョイスを行使したことで、一番失いたくないフローレンスを失うことになる。
プログラムにティムライスのインタビューが載ってるけど、アナトリーはチェスに勝利し、そして同時に敗北する…。その通り。
こうやって作品を思い出すだけで心の奥がキリッと痛む。深い深い深い物語です。見る人によって全員別の感情を抱かせるミュージカル。ビヨルンとベニーの音楽に感謝です。この時代に、この作品と出逢えて、あんなにも素晴らしいキャストやスタッフと、そして愛溢れる素晴らしいお客様と『CHESS』を分かち合えて…心から幸せです。
本当にありがとうございました。
また逢う日まで….アナトリー。
   <その他もろもろ>
★フローレンスのハンガリー時代の回顧で何人か手にしていた細長いものは何ですか?
(国旗でも銃でもない、瓶みたいなもの?)
火炎瓶と言っていたと思います。
★アービターのソフトクリームはどなたの案ですか?
荻ちゃんのアイデアだと言っていました。
★プロのチェス選手の方からいろいろ伝授していただいていましたが、
  実際の役作りの中で活かせた「チ
ェス選手ならでは!」な事柄があったら聞きたいです。
★ちょっと記憶が曖昧なのですが、フレディが試合を投げ出した後、
アナトリーがずっと懐にチェスの駒を持っていたようですが、
どんな意味があったのでしょうか?
駒運びは2試合とも、チェスチャンピオンの小島さんに伺ってリアルな指し方をしていたんですよ。チェスは「打つ」ではなく「さす」とのこと。以前どっちだと思う?と質問しましたね。小島さんいわく、盤の外から駒を持ってくる囲碁みたいなものは「打つ」。将棋やチェスのように盤の中の駒を動かすものは「さす」とのこと。
フレディーと闘っている時、アナトリーがキャスリングしようとしてキングとルークを交換しようとしてた時に「いいかげんにしろ」となるんです。だから、その後、アナトリーはキングを握りしめていました。カルテット直前でフローレンスと目が合ったときに「キングを握りしめている自分」と「クイーンのような彼女」を見比べて、不思議な縁を感じたりしていました。
★亡命するシーンで『すらすら~』とサインしていたのは、『Anatory』とか書いてたんでしょうか? なんて書いてたのか教えてください。
アナトリーセルギエフスキーと書いていました。正しくはアナトーリーなんですよ。外国ではそう言っています。
 
★最後にフローレンスに「あたなは自由じゃないわ。」と言われた時の心境を是非お尋ねしたいです。
ただひたすらに苦しかったです。渇望していた自由が、じつは最後まで手に入れられなかったものだから。
★モロコフにフレディの弱点であるフローレンスを唆すよう言われたとき、「わたしはチェスのプレイヤーだ!」と高らかに宣言しておいてなぜ逆に引っかかってしまうのですか?(笑)
モロコフの助言や予言はまったく関係なく、フローレンスの素敵さに純粋に惹かれたんだと思っていました。
★ヴィーガンドはモロコフに様々な脅しをかけられていましたが、アナトリーはゲーム前何か脅されていましたか?
死ぬほど脅されてたと思います。
★アナトリーが、君を忘れないと歌っていますが、それはフローレンス?  スヴェトラーナ?それとも二人のこと?誰なのでしょうか?
2人のことだと思ってたなあ。
★アナトリーはフレディをどう思っていたのでしょうか?チェスがうまい生意気な小僧?良きライバルとかそういう気持ちはなさそうですが・・
★アナトリーはフレディをどう思っていたのでしょうか?
嫌な男だけれど、天才プレイヤーの孤独を本当に理解出来るのは彼だけだと、ある種の友情?を感じていたような気がしました。誰が君を送り込んだ、裏に誰がいる?のセリフは、本当は悪いやつではないと思っているから出た言葉だと思いました。
俺は悪いヤツではないと思っていました。やはり暗い過去を抱えた十字架を背負う仲間だと。何らかのシンパシーはある気がする。生意気なのも作戦だと。アッキーは本当にすごい。一緒に板に乗っててめっちゃ刺激になります。
★どうしたらそんなに大きなステキな声が出るのですか?
よせよ~~(あほ)。嬉しいです。ありがとうございます。
★フローレンスが「愛を捨てさせた自分が今度は捨てられる」と怯えていたことをアナトリーは知っていましたか?
感じていました。でも絶対にフローレンスを裏切りたくなかったです。もう何一つ失いたくなかったから。本当に苦しかった。
★カズトリーさんが断頭台へと上るというので遊びにきました(違)
アハハハハ。この文章を書くのに今日一日かかりました。やることテンコ盛りなのに…。いいんです。チェスを愛して下さる皆様への感謝の気持ちをこめて書きました。
★試合の場面で使っていたチェス盤に並べられている駒は、持ち上げるときに少し力を加えていたようにみえましたが、磁石か何かで盤にくっついていたのでしょうか?
正解!舞台に落ちたら困るからね。
★『カルテット』前に内胸ポッケにしまった駒は、どこかの時点で盤上に戻ってきていますか?きてないか~?(笑)
きてないで~す。
★CHESSの楽曲は、どの曲も音程の取りにくい難しいものだと思いますが、ソロ曲やアンサンブルは、どのようにして練習されるのですか?
死ぬ想いでうなされながら頑張りました!今ではもう掌でコロコロ転がせます(笑)。
★先日、子供の頃体験したモスクワの空港での思い出を書かせていただいたのですが、今日、実家の母に会ったので母の思い出を聞いてみました。
「銃を持った兵隊があっちこっちにいて怖かった。空港内総てのエリア写真撮影禁止だった。なによりも、トイレに行ってみたらトイレットペーパーが字がかけるんちゃうか?ってくらい厚い紙質で、とても使う勇気が出ずに諦めた」そうです。。。
その2.AnthemはもともとABBAのアルバム用に作曲され、でも結局日の目を見なかったのですが、ABBA Opus10で検索してみたらABBAのベニー本人がキーボード弾いてる音源が聴けますよ。
ちなみにABBA Every good manで検索したらABBAのアグネタがHeaven Helpの元となった曲を歌っているのが聴けます。
Heaven Help My Heart のデモ
映像見ました~~~~~!めっちゃレアなんじゃないですか?感動しました。ありがとう!みんなもこれは見た方が良いよ!すごい。
★2幕、アナトリーと一緒にいるフローレンスは真っ白なドレス、夫の前に現れるスヴェトラーナは真っ黒なドレス、フレディも殆ど白の服、アナトリーはグレーのスーツでした。
フレディはフローレンスの事をまだ想っている事の表れ、アナトリーはフローレンスの側にいつつも、スヴェトラーナや祖国の事を想っていて、どちら側にもいないが故(白と黒の間)のグレーだと思ったのですが、衣装にそのような意図はあったのでしょうか??
★二幕でアナトリーの衣装がグレーなのは、「西と東」、そして「フローレンスとスヴェトラーナ」の間でどっちつかずなまま彷徨うアナトリーの心情を表してるのかな?と思ったのですが、いかがでしょうか?
そう思います。同感です。衣裳さんに特別そう聞かされてはいませんが。洞察力が素晴らしいですね。
★気になっていた事が。くだらいかもしれないんですが、2幕のとうこさん扮するフローレンスの髪型ってカツラですか?1幕はきっと地毛だよなー。でも2幕あんなになるのかなー?と1人悶々としてました。
1幕はポニーテール部分はエクステンションだと思いますが、生え際は地毛ですよ。2幕はウイッグ。とうこちゃんの生え際がまた可愛いし素敵なんだ。って変態か(笑)。
★「Someone Else’s Story」は海外のプロダクションでは女性キャストが歌う曲なのでしょうか?今回、あっきーの、胸が張り裂けそうに切ない歌唱でほんとにいい曲だなあと思ったら、女性が歌っている映像などを目にしたものですから、あれっ?と思いました。
スヴェトラーナが歌うのが普通だと思います。フローレンスのヴァージョンもあるとか。とにかく俺はサムワンエルスが大好きです。ひたすらに美しい超名曲だよね。転調する大サビとその戻し方が神業。ビヨルン、ベニー万歳です!
★今回「Soviet Machine」が愉快だったせいでソ連チームがなんだか楽しげになってしまって、コンサートバージョンのKGB軍団に比べると怖さ半減かも、という気もしていたのですが…アナトリーさんとしてはちゃんと威圧感を感じてましたか?
ひのさんはめっちゃ怖いよ!モリーナ時代からうなされるほど怖いです。
★「You And l」でフローレンスを抱きしめながら、スヴェトラーナとデュエット。
あの時の気持ちは?
アナトリーとしてでも、カズさんとしてでも可(笑)
あれは男としてよくわかります(笑)。フローレンスを抱きしめながらスヴェトラーナとの過去に想いを巡らせる瞬間。現実的には数秒くらいのフラッシュバックだと思います。切ないよね。
★皆さんの分析力や読解力が本当に素晴らしいです。ひかりさん、chessholicさんの好きだったシーンの着眼ポイントも細かくて鋭くてビックリ。さすがよく見てますね!
 
皆様、チェスを応援して下さりありがとうございました。心から感謝しています。次の出逢いまで「美しい別れ」だと言い聞かせようと思います。寂しいですが、ひとまずチェスに終止符を打ちたいと思います。ご愛読ありがとうございました。
チェスは永久に不滅です!
追伸。ニューアルバムに「Chess」の楽曲を収録する予定です。お楽しみに!
 Chess Pa Cirkus DVD.jpg
「Chess Pa Cirkus (DVD)」  これ知ってますか?スエーデンで発売されているDVDで、俺はAKANEちゃんに借りて見ました。
2枚組DVDで、一枚目は全幕チェスです。コンサート版ではなくミュージカル CHESSです。そして2枚目が驚愕のメーキングヴィデオ。衣裳合わせとか採寸とか、ビヨルンとベニーの歌稽古シーンとか、舞台セットをトンカンして組み立てている所とか、アナトリーのトミーさんが寝そべってるところとか、とにかく見どころ満載のメーキング。演出家がめっちゃ美形の長身。演劇の裏をかなり撮影しています。貴重な映像ばかり。
これは1万円出しても買う価値ありの逸品。俺はもうオーダーしているので空の上じゃないかな。お薦めだよ。

37 thoughts on “『Chess祭』~8~ <完結編>

  1. chessholic

    石井さん、遅くなりましたが、chess祭り完結編の執筆お疲れさまでした。
    マル一日も時間をかけてこの文章を書いてくれたなんて、、すごいな、としか言えません。いろんな仕事の合間に、大変だった事と思いますが、こんなに熱く書いて下さって嬉しいです。石井さんのチェスへの愛が伝わってきて泣きそうです。
    演じた俳優さんが物語や役について、演じてみて感じた事を聞く機会なんてそうそうないと思います。こんな俳優さんは見た事ないです。
    この文章はなんだかアナトリーさんへのロングインタビューのようでもありますね。本人でないと出てこないような言葉が時々出てきて、石井さんの文でないような。とても役に入り込んでいたんだろうなと思いました。全体の文も、その後のQ&Aも、へえ~ (驚)、わかるわかる(納得)と思いながら読みました。DVDについている副音声のコメンタリーみたいですね、贅沢。読んでいると色々な感覚が甦ってきます。
    修羅の道、気がついたらナイフを手にしている。
    すごい…。言葉がいちいち胸に響きます。
    死んだ方がいいかもしれない。そんなに?そこまで後悔してるとは思いませんでした、泣…アナトリーさん…。
    想像するだけで怖くて体が重くなってきます。それを疑似体験していた石井さん、さぞかし大変だったろうと思います。
    アンセムは修羅の道を歩き始めた自分を感じて歌ってた、というのに少し驚きましたが、確かにそんな決意は感じました。コンサート版とは違う気迫がありました。
    修羅の道は辛いけれど、自分に正直でいるためならと決断をする。そしてエンドゲームでの決断と勝利、彼にとってはチェスを裏切った後の後悔の世界よりマシだったのかなと思いました。そして一茶と竹里を思いだしました。
    モロコフとのオフマイクでの芝居は、東京のトークショーで聞いたので知っていましたが、初日は少々混乱しました。二人の会話を詳しく知る事ができて良かったです。
    石井さんのアナトリーは生々しくて、役に対して嘘がないように思えました。見ていてもらう哀しみは本物で、だから辛くて、今も思いだすほど強い物でした。汗も頬の震えも目の哀しみも、声の小さな動揺も感じる。
    石井さんが熱を込めて苦しみ悩むほど、アナトリーが罪深くて、哀しい存在になってくる。舞台の上でいつも全力の姿に毎回感動していました。
    <<chessholicさんの好きだったシーンの着眼ポイントも細かくて鋭くてビックリ。さすが良く見てますね!
    名前を出してくれて質問にも答えてくれて、ありがとうございます!チェスへの熱くてちょっとくどい 笑 この思いが少しでも伝わったのなら嬉しいです。
    正直言うとミュージカル版を見る前は少し不安でした。コンサート版が好きすぎたので、変化して良さが失われてしまうんじゃないかと。
    でも見てみるとそれは杞憂で、全体の疾走感とダイナミックさ、幻想的で曖昧な所といった好きな部分はそのままで安心しました。そして話と楽曲とキャラクターをより深く感じられる想像以上に素敵な舞台だなと思いました。
    今はミュージカル版のチェスが一番好きになりました。何回も見て、理解しようと色々考えてきたので、私の中ではレミゼぐらいの長年見続けている定番の作品のように感じています。
    こんなはまり方をした舞台は初めてです。2年前のコンサート2nd verから見ていて、変化を見てきたからかもしれません。コンサート以来チェスはずっと心の片隅にあって、再演してくれたらなあ。。と時々思っていた作品でした。個人的に愛着があって特別な作品です。ずっと忘れない舞台になると思います。そして、このブログのチェスについての記事、文章も何度も読み返すと思います。
    話は変わりますが、ニューアルバムが出るんですね!楽しみすぎます!!しかもチェスの曲入り!嬉しいです。どの曲が入るんでしょう?楽しみに待っています~♪
    チェス祭、本当におつかれさました。私は大千秋楽以来、まだ別の舞台には行く気が起きないので行ってません。チェスロスです!まだチェスが大好きだ~。アナトリーもフレディもフローレンスもチェシーもみんな大好き。これでひとまず私も区切りを付けますが、本当に再演を待っています。
    石井さんの今後の舞台コンサートCDラジオetcも、もちろん!楽しみにしてますよ!!

  2. tokotontoko

    カズさん、お忙しいなか情熱溢れる完結編をありがとうございました。熱く誠実に質問に答えてくださり感激しています。CHESSはミュージカル界の宝です。一旦美しい別れをしますが、美しい再会があると確信しています。8日はとうこさんの京都コンサートへ行ってきました。ロビーではカズさんからのお花が出迎えてくださいました。CHESSからも1曲歌ってくださいました。CHESS熱再燃です。3月のカズさんのコンサートは、とうこさんがゲストだと嬉しいななんて思ってしまいました。

  3. ちー坊

    教授&皆さま、こんにちは!
    タイトルの<完結編>の文字が目に飛び込んできた途端に寂しさがこみあげてきましたが、個別ページをクリックした先に現れた膨大な文章に驚きすぎて、寂しさが吹き飛びました(笑) 印刷してみたら皆さまのコメントも含めて19ページもありましたよ!かずさん、お忙しいなか丸一日かけて書き上げてくださりありがとうございます!かずさんの誠実かつお茶目なお人柄とCHESS愛に溢れた大作をじっくりと拝読し、胸が熱くなりました。
    今回こうして制作裏話も交えながら全体を通してアナトリーの心情を語ってくださったおかげで、謎だったことも腑に落ちましたし、様々な制約の中で工夫を凝らしながら日本版が作られたと知って、ますますCHESSが大好きになりました!
    再演を願ってやみませんが、今はひとまず、美しい別れを受け入れたいと思います。
    CHESSロスを忘れるほど濃密なひとときをありがとうございました♥

  4. yossy

    CHESS祭での質問へのお答え、ありがとうございました。
    たくさんの方が質問されていたので、きっと私への回答はないわねぇ。
    でも、質問できただけで満足と思っていたのですが、まさか回答をいただけるなんて、感謝感激雨霰です。
    再演されたら、その時はその時でまた新しい解釈や違った解釈が出てくるのでしょうが、再演を待たず、自分の質問だけでなくCHESS祭で教えていただいたさまざまな解釈や説明を知った上が今すぐにでももう一度CHESSが見たいです。
    昨日、安蘭さん出演のコンサートに行きました。アナトリーさんとフレディさんからのスタンド花が仲良く並んでいるのが微笑ましく、CHESSが恋しくなりました。チェスロスまだまだ続きそうです。

  5. ディアボロ

    これで終止符。
    >maki様
    私もジュディ・オングを思い浮かべました。同世代ですか(笑)

  6. ディアボロ

    >Lha様
    コンサートの衣裳の色は、完全なる記憶違いですね。
    1幕はフレディ、フローレンス、アナトリーは黒、2幕で白です。
    ロイヤルアルバート版がそうだったので、何の疑問も持ちませんでした。
    またフローレンス目線なので、影に徹するセコンド時代は黒スーツ、女性として愛されると(仕事モードでないので)白。男性陣は合わせている(見栄え等、技術的なもの)と思っていました。
    ABBA日本公式HPでは「3人が黒→白になるのはある階層から次へ移動したから(変化があったから)、スヴェトラーナが2幕で黒なのはまだ古い自分を脱していないから?(要旨)」という解釈が載っていて、面白いなと思いました。
    ところで、フローレンスがアナトリーに惹かれるのは、コンサートでは、日本女子が海外で男性にドアを開けてもらうと感激する、に似たものかと思いました。自分への気遣いに感動する、のような。男性と対等、あるいは男性より男性的に闘ってきた彼女が、もう頑張り過ぎなくていいんだと思ったというか。
    ただ、ミュージカル版は、フレディに切られたので次を逃さなかった(需要のシグナルをキャッチして)という逞しさの理解でいいのではないかと思います。フレディが歌う品定めの内容は、コンサートでは「フレディにとって女性はみんな自分の母親と同じ人種なのだな」と思ったのですが、今回は、実際に若干図星なのではないかと思います。というのは、私も若い頃、無意識には品定め、評価はしていたので(笑)子供を産む訳ですから、その子供を無事に育てようと思ったら、強いとか経済力あるオスザル、いえ、男性でないと困るのです。この辺は本能レベルですが。
    コンサート再演で荻田さんが「初演フローレンスは日本人向け仕様。実際はもっとしたたか」と仰っていて、実際に再演では肉食系な色が少しつけられていったと思います。ウエイビーな髪とか、極端に言えば「女を前面に出す」ような。そして逞しさやしたたかさは、ラストのウォルターの台詞、つまりあのどんでん返しな結末を受け止め跳ね返すには必要であったかなとも思いました(イディナは笑うんですよね。強いと思いました)
    ちなみに今回のスヴェトラーナの一幕のグレーは無個性だと思っていましたロシア語で(たまたま私の知っている外国語がロシア語というだけで、CHESS人物とは関係ないです)「グレー(灰色)な顔」は「覚えられないはっきりしない顔」ですので。「皆と同じはグレー(灰色)」という表現もあります。
    フローレンスがスパイ説、面白い!実は私、今回のフローレンスの利用され具合、国家プロジェクトに関わっていそうな雰囲気をこのままにしておくのは惜しいので、とうこさんでスパイ物が見たいなあ、などと思いました(笑)

  7. こんばんは。
    遅ればせながら・・・テンテコ舞いの中、マル一日かけての執筆作業で完成された「チェス祭 完結編」のアップ、ありがとうございます!そして本当におつかれさまでした(o’ω’o)ノ
    どこまでスクロールすれば終わりにたどり着ける?というほど凄すぎるボリュームで、カズさんのChessとアナトリーに対する想いの深さを感じました。また、場面場面のアナトリーの心情をこんな風に感じることができて、今でも胸が苦しくなる想いでいっぱいです。
    最後まで読ませていただいて、改めて胸に響いたこと・・・単身での亡命に至る過程やその胸の内の葛藤、フローレンスとの生活を選んでも常にとてつもない不安感をお互いに持っていたということ、自分自身の決意で勝利しゲームに終止符を打ったときの辛すぎる想い、そしてフローレンスこそが生きる意味だったということ。愛する人を悲しませたくない、そのために選んだ道は別れではあったけど、それがフローレンスに対する本物の愛・・・だったんですよね。
    やはりChess祭の始まった時に予感していたとおり、今すぐにでもアナトリーに会いたくなりましたが、しばらくはサタトレでオンエアしてくださったChess楽曲で再演への想いを募らせたいと思います。
    もちろん、Newアルバムに収録されるChess楽曲も、発売される日を楽しみにお待ちしていますo(^o^)o

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